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アニメの感想を書いていきます。

「今日はまだフツーになれない」が本当に最高だった

試し読みはPixivコミックとマガポケでできます。 comic.pixiv.net pocket.shonenmagazine.com

今まで読んだ百合漫画の中でもナンバーワンなんじゃないかってくらい良かった。

簡単に紹介すると、世の中の「フツー」に疑問を持っている漫画家の山下とフリーターの高橋が、二人にとっての「フツー」を見つけていく話。

私はマガポケでこの漫画を見つけて、結構気に入って読んでいたのだけど、12話で一気に引き込まれてしまった。 12話は作者であるU-temo先生のtwitterからも読めます。

百合じゃん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 友人を笑顔にするためだけに髪染めるとか最高か??????????

あんまりにも良かったので「単行本化されてないかな」と思って調べたら、ちょうど6月30日に発売していたので即購入した。 そしてそのまま3周くらい読んだ。今でも1日1回は読んでる。めっちゃくちゃいい...

少しだけ展開に触れると、一話では冒頭で27歳の山下と高橋が出てきて、その後二人の高校時代に場面が移る。 そして二人が過ごして来た10年間を1巻通して丁寧に描き、最終話で冒頭の続きが描かれて終わる、というストーリーになっている。

自分はこの構成に完全にやられてしまった。 一話冒頭と最終話冒頭は同じシーンを描いているのだけど、読んだ時の印象が完全に異なっていた。 二人が一緒に過ごしてきた時間が、積み重ねてきた二人の「フツー」が、こんなにも同じシーンを違って見えさせることに感動すら覚えた。 そして最終話で描かれた続きがあんまりにも良すぎた。最終話の最後のコマで叫びたくなるくらい良かった。すべてがこのコマに詰まっていた。この作品はずっと希望を描いていたんだとさえ思えてしまった。

何より単行本に収録された、最終話の続きを描いたおまけが最高に良い。本編では山下と高橋は絶妙な距離感を保ち続けていたように見えた。お互いにずっと名字呼びだったし。 なのにおまけでその距離を一気に詰めてきた。最高。これを読めただけでも単行本買ってよかったと思えた。

この作品は百合に分類されると思うのだけど、二人の関係に名前をつけるのは野暮なのではないかと思えた。 二人にとっての「フツー」は、二人にとって本当にかげがえのないものなんだろうと思う。

作者のあとがきで「この漫画が誰かに寄り添うことが出来れば」と書いてあるけれど、自分にとってこの一冊は間違いなくそういった存在になったと思う。 「今日はまだフツーになれない」、全人類に読んで欲しい。